Matsubara工房という屋号で特注品対応をはじめました。でも職業欄は農業ですので農業ネタもあります。
NJP赤道儀オーバーホール
2015-09-22 Tue 17:06
NS-5000 ベルトドライブ仕様をご購入されたお客様から赤道儀本体のオーバーホールも依頼されました。当初はNS-5000のメカユニットの装着だけの予定でしたが現品を見させて頂いたところ赤経、赤緯ともウォームギアの回りが重く出来れば分解してグリースの状態を確認したほうが良いと判断しオーバーホールまで行う事になりました。

NJP赤道儀OH前2 NJP赤道儀OH前 DECグリース状況

外観は塗装の痛みが見られますが各部の動作には問題は見られませんでした。
赤緯のウォームギアユニットを取外しウォームホイールのグリースの状態を見ると塗布量が少ない気がします。また、経年変化でグリースが固くなっていました。

お客様は最近天文に復帰したとのことでNJP赤道儀も工場の片隅に20年近く保管してあったそうです。赤道儀の塗装も下に行くほど劣化が酷いのも保管環境の影響があるようです。お客様にクリーニングしておきますと言ったものの思った以上に塗装の劣化が見られたのでオーバーホールで全分解するのを機に再塗装もすることにしました。

NJP赤道儀を赤経、赤緯とも全分解し洗い油(ホワイトガソリン)でグリースも洗い流しました。オーバーホール前に事前点検で極軸望遠鏡がカビで曇っている事が判りましたのでレンズクリーニングもすることにしました。

極軸望遠鏡対物カビ極軸単体での極望対物レンズ状況

対物レンズカビ 極望対物レンズを取外し蛍光灯の透過光で見たところ

再塗装は全分解しサンダーにワイヤーブラシを取付け塗装を概ね落とした後にサンドブラスターで再塗装する全面に一種ケレンを行いました。NJP赤道儀は殆どのパーツがアルミ鋳物で出来ていますので塗装の密着力を確保するためにもサンドブラストによる物理的なアンカー効果も狙っています。さらにプライマーとしてミッチャクロンマルチを吹いています。

プライマー塗布後 プライマー塗布_拡大
 左が再塗装する全パーツ 右は一部アップ


次に色をキッチリ出す為の下塗りで。グレーのプラサフを吹いています。
プラサフ塗布後 全面がグレーのモノトーンになるように仕上げます

最後に仕上げ塗りです。使用塗料はタカハシ色に調合してもらった2液のアクリルウレタン塗料です。
スプレーガンで吹きますが最終仕上がりをシボ塗装にしたいので、まずスプレーガンを綺麗な霧が吹けるように調整して全面に均一な塗装をします。次に粗くて大きな霧が出るようにスプレーガンを調整して2度吹きします。この時の塗料の塗り具合でシボの大きさが決まるので気を使います。
仕上げ全品 仕上げUP
 左がすべてのパーツで右が一部アップです

再塗装も終わり再組立てに行きたいところですが極軸望遠鏡のカビとりで光学パーツを一度取り外していますので光軸調整とスケールパターンの位置調整が必須です。これが結構手が掛かります。この調整が悪いと極軸セッティングがズレテしまうので天体写真を長時間露出をした時にオートガイダーを使っても視野周辺の像に回転(≒日周運動のような軌跡)が出てしまいます。

いよいよ赤道儀の再組立てです。まず、赤緯体に整備の終わった極軸(=極軸望遠鏡)を組付けます。ねじ込みですが最後のロックビスの穴が見えるまで締め込みます。後はグリースを再塗布しながらバラした順序と逆手順で組み立てて行くだけです。
NJP最組立後 再組立て完了

再組立てが完了したので赤道儀としてOKかというと極軸望遠鏡の調整は更にこれから微調整をします。北極星と同じ程度の高さの電柱で先端の金物等で穴(=円形の箇所)でピントが合う所を探します。ここで、まず極軸を全周回してみて極軸望遠鏡の視野が動かない事を確認します。もしここで視野が動いたら極軸望遠鏡の対物レンズの光軸調整不良ですので赤道儀を再分解し極軸望遠鏡の光軸再調整が必要です。

 JP/NJP赤道儀が一般の赤道儀のように極軸望遠鏡ユニットとして組付けているならこんな事は起こらないのですがJP/NJP赤道儀では極軸=極軸望遠鏡の鏡筒ですので対物レンズの芯出しが必要です。

次にスケールパターンの調整をします。
スケールパターンは極軸望遠鏡を再組立てする時にそれなりに合わせて組んでいますが±10度くらいの回転方向の誤差があります。そこで、スケールパターンの再度の調整と極軸セッティング用の水準器の校正を行います。

錘吊り下げでスケール調整2  スケール校正作業風景

錘吊り下げでスケール調整1 錘を吊り下げ鉛直方向の基準糸(アップ)

極軸望遠鏡は星(=無限大)に焦点が合っていますので近場はピントが合わず吊り糸がハッキリ見えませんが角度情報としてはハッキリピントが合っていなくても問題ないので近場の屋根の上から吊り糸を下げています。スケールパターンの回転方向の調整後に今度はスケールパターンの芯出しです。

極軸を全周回してスケールパターンが動かなければ良いのですが動いた場合は芯出しをし直します。120度開いたセットビス3個で芯出しするのは意外と難しく調整の良否を適当なところにすればそれほどの手間を掛けずに出来るのですがこの設定誤差がそのまま極軸設定誤差になりますので出来る限り追い込んでおく必要があります。

芯出しが完了したら気泡管の調整です。再度吊り下げ糸を使って極軸望遠鏡のスケールパターンの上下線が吊り糸になるように極軸を回して合わせ合った位置で気泡管の泡が気泡管の中心になるように合わせて固定します。これで、実際の運用時は気泡管を使ってスケールの鉛直方向が校正されますので精度のよい極軸セッテヒングが出来ます。

次にNS-5000ベルトドライブ仕様を組付けます
NJP_NS5000組付け 保護カバーは外してあります

最後に動作テストをしてOH作業も完了です。
動作確認風景1 動作確認風景2 動作確認チェック風景

赤道儀を極軸望遠鏡を使って極軸設定しステラナビを使って導入精度の確認をしました。西の空のベガで同期を取りデネブ ⇒ アルビレオ ⇒ M27 さらに東の空のカペラ ⇒ べテルギュース と自動導入を試み問題ない事を確認しました。
カペラを使って望遠鏡の視野中央に合わせて2時間ほど経過してから逃げていないのを確認して恒星時運転の確認をしています。

NS-5000は電源電圧DC24V 恒星時のPPSレートは100PPSで1/16マイクロステップ駆動 導入速度 X430速で運用しています。また、オプションのBluetoothインターフェースも実装されていますので接続テストも行いました。これはAndroid OSのスマホ、タブレットなどからSkysafari等のアプリを使う事で無線で自動導入できます。眼視や観望会では手軽で重宝します。
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コメント:
お世話になります。
とりあえずFacebookにOHとモーター改造の記事をアップしました。
半期末締めと悪天候が重なり酷い目にあいましたが、10月連休に天気が良ければ実戦投入出来ればなぁと思ってます。
2015-10-01 Thu 00:05 URL | さいのうのうしゅく #-[ 内容変更]
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2017-03-12 Sun 11:54 | #[ 内容変更]
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2017-05-16 Tue 08:27 | #[ 内容変更]
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