Matsubara工房という屋号で特注品対応をはじめました。でも職業欄は農業ですので農業ネタもあります。
NS-5000 5相モーター仕様(ハーモニックドライブ)
2017-08-30 Wed 22:03
究極のモータードライブを目指して昨年オリエンタルモーター製のαSTEP+ハーモニックドライブ減速器を特注対応で製作しました。NS-5000の標準仕様の2相モーターのマイクロステップ駆動ではガイド精度と振動特性が及第点には行っているけれでハイレベルの顧客ニーズには答えきれないという事が判りました。

NS企画様から昨年の初頭に特注で5相モーター+ハーモニックドライブ減速器仕様のメカ対応の依頼がありました。モーターならびにモータードライバーはオリエンタルモーター製でお客様からの支給でした。2相モーターで実績のあるベルトドライブ方式を採用しモーターの静止トルクが4N・mもありましたのでベルトの伝達容量も4倍に増やし寸法制約がありましたが数回の試作と設計変更にて何とか折り合いを付け取りまとめました。因みに設計変更の主の理由はメンテナンス性でした。

NS-5000 NJP PK543ハーモニック_RA_1k NJP ハーモニックドライブ赤経
NS-5000 NJP PK543ハーモニック_DEC_1K NJP ハーモニックドライブ赤緯

金具の剛性向上を狙ってアルミLアングルのワンピースを削り出しで使っています。モーターケーブルが標準でケーブルグランド仕様でしたので計測機器等で使うメタル丸型のワンタッチ脱着タイプのケーブル中継コネクタとしました。コネクタのオス、メスをそれぞれを両手で持つので暗闇でも自分の感覚で勘合出来るので操作性は良好です。

5相モーターで電流値が0.75Aと半減し電線本数も5本に減ったので部品代はチョット掛かりますが高信頼性で操作性も良いコネクタが使えるようになりました。ベルトドライブ部の保護カバーは2相と同様ステンレス板です。

ハーモニックドライブ減速器を使い込んだことがありませんでしたので天体撮影システムや画像処理にも造詣の深い知人のNJP赤道儀に装着し遠征撮影に使ってもらい評価をお願いしました。導入精度、ガイド精度は申し分ないとの事でしたが思わぬ落とし穴がありました。

知人が日光戦場ヶ原に真冬の2月に遠征撮影に行ったときです。外気温が-10℃まで下がったそうで平地(当工房、知人宅)では問題なくX300倍速で自動導入していたものが脱調してしまったそうです。NS-5000はパソコンのユーティリティーソフトを使って自動導入時の速度(=最高速)を簡単に変更できますので知人が脱調しないところまで最高速を落としたらなんとX140倍だったそうです。最高速が遅くなってもガイド精度は問題なかったので撮影は無事に出来たのですが何故最高速が低温で低下したか原因を調べて欲しいと依頼がありました。

早速オリエンタルモーター様の営業窓口に相談したところ思いもよらぬ回答でした。
「ハーモニックドライブの動作温度仕様は0℃~+40℃です。仕様外の使われ方です」 ハーモニックドライブシステムズのホームページにFAQがあったので調べたらやはり0~40℃でした。低温で使う場合は低温用グリースがあるので営業窓口まで相談してくださいとありました。

オリエンタルモーター様のハーモニックドライブシステムズのFAQに低温グリースがあるらしいけれどオリエンタルモーター様で対応してもらえるのですか?と確認したところ また驚きの答えが「あまり効果は期待しない方が良いですよ!」 オリエンタルモーター様のアドバイスは「ゼロバックラッシュギアは方式に寄らず機械的な適度ばスキが無いので温度仕様は必然的に狭くなります。解決策は減速器を暖めてください!」

知人に知らべた結果と対策を伝たところ次の遠征時は桐灰カイロをモーターにあて保温シートも巻いて使ったら快調だったと結果を教えてもらいました。原村の星祭りに私のJP赤道儀にこのハーモニックドライブ仕様のNS-5000を装着して実際に使ってみたのですが暖かい夏はX350倍速で軽快に動いていました。

お客様が暖地にお住まいで観測ドーム内で惑星の撮影とかをされるのでしたらハーモニックドライブ仕様は勧めです。遠征撮影等で高地(=寒いところ=0℃以下になるところ)にての運用をされる場合や寒地(標高の高い観測所や関東以北の冬季等氷点下になるところ)では減速器にヒーターを付ける等の寒さ対策をする必要があります。

テスト撮影での具体的な評価結果を追記します。
30cmF4反射鏡筒にオフアキを組んでガイドカメラはQHY5-L-Ⅱ、ガイドソフトはMaxIm DL 、撮影カメラはFLI ML-16070(画素ピッチ5.5μm) LRGB撮影した画像で±1ピクセル以内(=ガイドエラーが殆ど無い) 各画像をアライメント処理しなくてカラー合成出来たのにはビックリしたそうです。知人曰く「もう2相には戻れないかな・・・」 


ハーモニックドライブ減速器の弱点である(氷点下での使用が多いというアプリケーションに対しての弱点という意味です)低温時の特性を解決すべく減速器にヒーターと温調器を組合せ寒冷地でも安定動作する方策を思案中です。赤道儀のモータードライブのモーターに温調器の温度表示が付いているチョット変わった物になるかと思いますがハーモニックドライブは製品温度仕様内であれば優れた特性を発揮しますので何とか使いこなしたいと思っています。
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