Matsubara工房という屋号で特注品対応をはじめました。でも職業欄は農業ですので農業ネタもあります。
NS-5000 5相モーター仕様 (遊星歯車式減速器)
2017-08-30 Wed 23:35
5相モーターのハーモニックドライブ仕様は期待通りの性能でしたが問題点が数点ありました。
・低温時ハーモニックドライブ減速器の内部フリクション増大で軸出力が低下し脱調する事がある。
・モーターコストが高いので総額で約35万円の価格が予想される。
・ハブ形状が大きく出力軸長が短いので実装制約がありメンテナンス性が良くない。

そこで5相モーターの減速器を遊星歯車式のバックラッシュ有品(ノンバクうラッシュ品でないタイプ)に変更して試作・評価してみました。

モーター減速器のバックラッシュも大事ですがハーモニックドライブ減速器でオリエンタルモーター様に問い合わせた時に減速器のバックラッシュよりモーターの回転精度の影響の方が大きいのではなないかとアドバイスされました。

2相モーターのマイクロステップの回転精度は理論的には素晴らしいですが実際にはバラツキが大きく高精度を狙うのでしたら5相モーターをお奨めします。マイクロステップ駆動とも相性がよく回転精度は明らかに良いです。お客様の製品仕様から2相モーターで充分な場合にコスト対応でお奨めします ・・・・・・ 5年程前に何故2相モーターを使うのですか?お客様のアプリだったら5相の方が良いと思いますと言われた事を思いだしました。

NS-5000の標準仕様の2相モーターでもf=1000mm程度の光学系でしたら充分な性能があります。これが長焦点のシュミカセ鏡筒や昨今の高解像度カメラを使った場合ガイド精度をもう少し上げたいとのご要望があったり惑星や太陽面の観察撮影のお客様から低振動を求められたりがあり解決手法としてαSTEP+ハーモニックドライブ仕様や5相モーター+ハーモニックドライブ仕様でした。

減速器の仕様ばかりを気にしていたのでモーター仕様の違いに注目しコスト的にもメリットのある(ハーモニックドライブに対してです)遊星歯車式減速器を使ってみました。

RAベルト駆動系 NS-5000 PK543PS_5P_BLT_RA RAウォームギア押引ネジ 赤経

DECベルト駆動系 NS-5000 PK543PS_5P_BLT_DEC DECウォームギア押引ネジ 赤緯

ハーモニックドライブ仕様の試作実績を基にベルトドライブ回りを設計しました。ウォームギアのアタリ調整用の押引ネジ、ベルト張力調整用ネジ等も両軸に設けました。また、フリーのプーリーは丁度良いサイズが無かったので汎用カムフロアに手を加えてタイミングベルトのレイアウト条件を満たしています。このフリーの背面プリーを取り外すとベルトがスプロケットから取り外せ赤道儀のウォームギアがフリーとなります。これによりウォームの当たり具合の調整作業がスムースに行えます。

カバーはモーターケーブル等の巻き込み防止目的だけでなく埃や夜露からも保護したかったのでフルカバーとしました。密閉構造ではありませんが赤緯軸の夜露などがタイミングベルトに付着するのを防ぐことが出来ます。

カバーはギア仕様用として当初はGFRPで手作りしていましたが数量がある程度見込めたのでアルミブロックからのNC削出+アルマイトを作ってみました。フルカバーにすると凄いコストになるので厚みをコストで妥協して18mmとしました。ベルトドライブ仕様にするにあたり巻き込み防止機能だけで充分と割り切りステンレス板にしましたコスト対応でもあります。

今回5相版では見た目のチープ感を無くしたいと思っていましたので知人の仲介で板金物の業者に特注でフルカバー版をお願いする事にしました。ステンレスの1.5㎜板をレーザー加工機で切り出し曲げ加工後接合点を溶接してあります。外側をバリ取りヘアーライン仕上げをしてもらいました。

ステンレスのヘアーライン仕上げは綺麗で良いのですが赤道儀に組付けてみると何となく自己主張が強い感じがしたのでタカハシ色に2液ウレタン塗料で塗装仕上げにしてみました。

NS-5000 PK543PS_5P_BLT_全体 NS-5000 5相遊星歯車式ベルトドライブ仕様_全景

NS-5000本体も今回大きく見直してみました。
2相モーター用と5相モーター用区別するべく筐体カラーを黒色にしました(2相はシルバーです)。また、従来は電源、モーターケーブル、シリアルケーブルの各コネクタが背面に実装されていました。使ってみると邪魔に感じ場合がありましたので思い切ってフロントパネルに集約しました。
NS-5000本体 NS-5000 5相版

コネクタ間の間隔が狭いので操作性を確保するべくすべてワンタッチコネクタにしました。
バックパネルに何も無いものを実際に使ってみると思って以上に使い易いようです。
それからコントロールボックスは当工房オリジナルの物で保護用のシリコンラバー付です。何回かコンクリート床に落としていますが大丈夫ですのでそれなりの強度はあるようです。シリコンラバーの色を黄色にしたのは意味がありまして昼間は黄色で目を引くだけでなく夜間赤色灯下では白く浮き出て見えます。シリコンカバーの色を青で試作したら赤色灯下では黒く沈んでしまい見えなくなってしまいました。

この5相ベルトドライブ仕様にするには赤道儀のウォームギア軸がベアリング化されていることが必須条件です。タカハシ純正のNV仕様になっているか等工房オリジナルのフルベアリング化改造をした物である事が条件となります。理由は標準の軸受メタルでは高速回転に対応出来ない事とベルトの張力で軸受けメタルのグリース切れを起こす可能性が有るからです。

肝心のガイド性能ですが知人に依頼して評価してもらいました。
30cmF4反射鏡筒にオフアキを組んでガイドカメラはQHY5-L-Ⅱ、ガイドソフトはMaxIm DL 、撮影カメラはFLI ML-16070(画素ピッチ5.5μm) LRGB撮影した画像で±1ピクセル以内(=ガイドエラーが殆ど無い) 各画像をアライメント処理しなくてカラー合成出来たのにはビックリしたそうです。知人曰く「もう2相には戻れないかな・・・」 

このテスト評価結果は5相モーター+ハーモニックドライブのものでした。私の聞き間違いでした。ガイド性能としてはやはりバックラッシュレスのハーモニックドライブ減速器が実際には一番良いようです。勿論遊星歯車式減速器+5相モーターは2相+平歯車減速器よりガイド精度は良好ですので充分な性能を持っています。

オフアキのようにガイド光学系の焦点距離が長く昨今のファインピッチのガイドカメラだとガイドエラーの検出能力は高いです。2相モーターのマイクロステップ領域の分解能で補正制御をガイドソフトはするのですが2相モーターの回転精度(=制御分解能・安定性)が不足しているので結果的に上手く補正し切れずにガイド精度がバラツキ撮影画像の星が大きくなるようです。高精度ガイドを狙うのでしたら高精度で制御できるモータードライブが要ると言う事に尽きるかと思います。

凡その価格が25万円+ウォームギアのベアリング化で約5万 合計約30万円が高いと思うかどうか・・・・・です。
導入速度は赤道儀の状態によりますがX400倍程度は行けるかと思います。ドライバーに産業用の最新機種を使っていますので恒星時やガイド時、キャリブレ―ション時など低速時は無音、無振動です。メーカーカタログによると全速度域でドライバーが勝手に最大2048分割までマイクロステップ駆動するらしいです。産業用は電源電圧はDC24Vが標準ですのでAC100Vから24V4A程度のACアダプタを使って運用します。
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